牛歩的写真中心網録”

伊豆半島ジオパークと道祖神を中心にアウトドア活動を、写真で記録しています

野外実習:中伊豆南エリア

台風15号本土接近の不安定な天気の中、時折雨に降られましたが、どうにか野外実習を消化できました。

  • カワゴ平 溶岩流

3200年前にカワゴ平火山が噴火。同時代の伊豆東部火山群の中では最大規模の爆発で、北側の筏場方面に大規模な粘り気の強い(流紋岩)溶岩流が噴出して、天城火山の北側の裾野を埋め尽くした。また高く立ち上った高温の噴煙が、噴煙に含まれる軽石などの重量に耐えられず、噴煙自体が崩れて、火砕流も発生した。噴出した火山灰や軽石成層圏にまで達して北西方面に降り注ぎ、富士山、静岡、浜松などで見つかっている。溶岩流の端には溶岩流の断面が露頭している場所があり、観察できるとのこと。



林道の横に露頭しているカワゴ平火山の溶岩。白っぽい軽石と黒っぽい黒曜石が層を成している。流紋岩とは、マグマの流動時に形成される斑晶の配列などによる流れ模様がある岩石

  • 蛇喰山大崩落近くの露頭


天城山火山の軽石などでできた蛇喰山(ジャバミ)が、狩野川台風の土石流で分断され大崩落した。大崩落の近くに、カワゴ平火山の火砕流(火山灰+軽石)の一部が露頭している。露頭の崩れた下部には黒曜石(溶岩ドームが固まったもの)が簡単に見つかる。


  • 国士峠近くの露頭


国士越火山からの噴出物(スコリア・火山灰・爆発角礫岩)が国士越火山の火口のヘリに溜まったものが露頭している。


  • 長野の台地

国士越南火山から流れた溶岩が長野の台地を作り、今では棚田が作られている。元々は谷の底を流れていた渓谷は、溶岩台地に押しやられて、台地の両側の溶岩の端部を流れている。
写真は宇宙から見た長野の溶岩台地 by googleEarth 綺麗な棚田を見つけました


  • 滑沢渓谷


滑沢火山(太郎杉の近くで噴火したが、今では跡形もない)からの溶岩流が渓谷を流れ、一枚岩となり、水流に磨かれて滑らかになっている。



尚、滑沢林道入り口の左側の崖に露頭している溶岩流は、エサシノ峰火山からの溶岩流(玄武岩

  • 鉢窪山 スコリア丘

鉢窪山もふもとから見ると美しいスコリア丘で、同じくスコリア丘である南の丸山と同時に噴火。鉢窪山からの溶岩流は、茅野の台地を作り、台地の両側に、本谷川と岩尾川に分断した。本谷川を塞いで柱状節理の浄蓮の滝という観光資源をプレゼントした。
鉢窪山の露頭では、赤いスコリアと火山灰の層理の中に、火山弾も見られる。


  • 船原スコリア丘

船原火山列(3つの火山が直線的に噴火)の真ん中のスコリア丘が、敷石の採石場として採掘されていて、スコリア丘の内部構造が観察できる。写真では表しきれないが、大きな体積を有する
赤いスコリアは火口の内部やすぐ近くに噴出して高温のため酸化したもの。一方、火口から離れた場所に降り積もったスコリアは、黒っぽい色となる。
採石場は操業中なので、見学する場合は事前に予約すること。


精選されて出荷を待つスコリア
透水性と保水性に優れるので、敷石などに使われる。性質が似ているアンツーカは多孔質焼成土(レンガなど)を原料として粉砕した人工物らしい。スコリアなどと混ぜて、全天候型のコートなどに使われる


  • 補足
    1. 天城山北の本谷林道沿いには、天城火山の柱状節理を含めた露頭が見られる。
    2. 八丁池は、火口湖ではなく、活断層が造った段差が川をせき止めてできた池
    3. わさび田は、陸上火山の溶岩(透水層)にしみ込んだ地下水が、その下にある海底火山の不透水層の上を流れ下り、崖などの露頭している場所から湧き出した湧水を利用する。

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