牧之原市の蛭ヶ谷にある蛭子神社で、三年ぶりに田遊びが奉納されるので、夕方から出かけた。
祭りの準備
一番:ほた引き
”ほた”とは豊田のこと。綾笠をかぶった舞人が輪の中に立ち、若者が長い綱をもって、ほた引きが行われる。綱には、ほた小僧という杉の束でこさえた人形が結わえられている。
舞人の合図で、一斉に綱を回して、近隣の神社の神々を招く。
二番:里田打ち
田に見立てた樽を、鋤に見立てた若竹を打ち下ろす。大人と子供の輪ができる。
竹が割れたら、新しいものに替えてたたく。すべての竹が割れたら、終わりで、火にくべられる。
三番:本刀振り
綾笠(白い紙垂がたくさんつけられた被り物)をかぶって、茶の着物に縦縞の袴姿の舞人が、刀を持って四方に舞い、結界を施す。
囃子も無く、淡々と舞い踊る。
火の傍は熱いが、熱さを恐れずに舞う。
途中から舞人がもどきに交代して、四番となるが、区別がつかなくなった。
五番:長本刀振り
途中から、舞人が変わって、木刀に持ち替えたもどきが、六番[木長刀振り]を舞うが、区別がつかなかった。
七番:杵振り
男根を意味する杵に持ち替えて、同様に四方に結界を施す。
篝火を背景に、杵で見栄を切る。
側転で地面に置いた杵を飛び越える。
向きを変えて
九番:田打ち
田打ちの途中、昼飯を摂る。高盛飯を出されて喜ぶ。
それぞれの昼飯が用意されて食べる所作をする。
酒をふるまわれて、サンバイ・サンバイと言って酒盛りが始まる。
このあと、延々と話がはずんでいるようだ。火を背にして、さぞかし熱いだろう。そういえば、篝火のせいで全然寒さを感じない。むしろ、瞼を閉じると厚くなっているのが感じられる。
十番(?):牛ほめ
親方と徳長が、牛に見立てた舞人の背中に鞍餅を載せて、牛をほめる。
十一番:鳥の口 ~ 十二番: 御草押し
鳥の口で、苗代に種まきする
御草(杉束)を左右に振る。
十三番:麦つき
桶を臼に見立てて、二人で刈り取った麦の穂を杵で搗く所作を行う。
十四番:麦洗い(魚釣り)
孕女が川で麦を洗っていると、二人の殿がやってきて西宮大神宮への懸け魚(?)を釣る。
十五番:田植え
親方と孕女らが、杉の葉を早苗に見立てて、肩越しに投げて田植えを行う。
子守役は、杉束でこさえたほた小僧の人形をおんぶしている。
十六番:稲刈り
親方との徳長の三人が神殿前に進み
鎌で稲を刈る所作をします。
番外:ほた小僧
お田植え神事が終了すると、社殿横の桜の幹に、ほた小僧がほた引きの縄で結わえられます。
稲霊が依りつく桜の樹に返されました。春に桜の咲き具合で、稲の作柄を占うそうです。
午後10時にすべての神事が終了しました。お疲れさまでした。撮影させていただき、ありがとうございます。