牛歩的写真中心網録”

伊豆半島ジオパークと道祖神を中心にアウトドア活動を、写真で記録しています

富士山 研修会

山梨県の富士山科学研究所主催のスキルアップセミナーに参加して、貞観噴火(864年)の溶岩流を青木ヶ原周辺で観察しました。講師は赤色立体地図の千葉さん。分かりやすい解説で、自分としては未消化だが一人で観察した時よりも良く理解できました。強風を想定して厳寒支度で出かけましたが、風は止んで昨日よりも体感では暖かい一日でした。

心配した凍結も少なく、受付時間より早く着きそうなので、山中湖の長池から快晴の富士山を撮影下り山火口から本栖湖に流れ込んで枝分かれした溶岩ローブの先端部(本栖湖貞観噴火の溶岩流が達したが、噴火以前から”せの湖”とは独立した湖だった)


溶岩膨張による開口割れ目を観察ひび割れした餅のように、ひびが開口している


割れ目の断面には割れ目と同じ方向に縞模様ができている。停止した溶岩が内部の圧力により餅のように膨れたときにできたとされる。赤色立体地図の開発により新たに発見された”下り山火口”からの溶岩流の先端が溶岩塚(flow lava tumulus)として盛り上がり、大蛇のようにのたうち回っている。(開口割れ目)


パホイホイ溶岩の開口割れ目少し離れた場所には、アア溶岩の溶岩流も見える

流れ出した溶岩流は表面から冷却・固化し、表面に殻を造る。溶岩流の内部はなかなか冷却されずに流れようとするため、表面にできた殻を破壊して前進するので、表面にはガサガサして殻の破片が残る。溶岩の流量が少ないと、破壊がゆっくりとなり平滑な表面のパホイホイ溶岩となる。

”せの湖”に流れ込んだ青木ヶ原溶岩流は、精進湖と西湖に分断して、精進湖に半島状の地形を造った。溶岩ローブが中から膨張して、大きく開口した


水中(せの湖)に流れ込んだ溶岩は、小さな枕状溶岩となる。丸い礫が無数にある枕状溶岩が成長して、枝分かれた跡には空洞ができることもある(参加者が見つけた穴のある礫)


溶岩ローブにできた開口割れ目(高さ1mほど)開口割れ目の断面には縞模様が見える


溶岩流ができる以前にせの湖の底には珪藻土があった。比重の重い溶岩流が珪藻土の下から持ち上げたので、珪藻土が隆起して露頭しているとのことだが、明瞭な珪藻土は見つからなかった


  • ジラゴンノの溶岩流

この研修会のためか、露頭の前の草は全て刈られていて、良く見えた。下層が流れてきて固まった後に、新たな溶岩流が覆って、更にその下に熱い溶岩流が潜り込んで膨張した。上層と下層の間には、急冷されて赤や褐色に変色した殻も見える。最下部には大室山スコリアも見える溶岩膨張が起こると、気泡が縦に並んだり、パイプ状の気泡が出来ることもある


下部に溶岩樹形が残り、上部には溶岩膨張に伴って蛇腹状に水平に亀裂が入ったとの説明(以前は、水蒸気爆発−スパイラクルと言われている)下層の溶岩流の上に後から流れてきて膨張した溶岩流には、底が平らで大型の気泡ができて、天井には小さな溶岩鍾乳石が見れる



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