牛歩的写真中心網録”

伊豆半島ジオパークと道祖神を中心にアウトドア活動を、写真で記録しています

地層勉強会 @江の浦

静岡県地学会のM先生にお願いして、ジオガイド仲間で江の浦地区の地層の勉強会を開催しました。先生の長年にわたる知見から、地層を読み解く基本を教えてもらいました。

1)江の浦地区を含む沼津アルプス周辺の地質図は、高橋豊先生によるものがもっとも詳細とのことです。地質図Naviの[1/75,000沼津]は少し古いとのこと。

2) 江の浦地区の沿岸の凝灰岩崖に掘られた旧海軍の特攻兵器などの格納庫跡の調査情報

3)斜交層理の種類とできかた(通常のトラフ型斜交層理・ヘリンボーン斜交層理・ハンモック状斜交層理など)

4)現在見えている地層の観察だけで、江の浦地域のような古い地層の成り立ちを推測することは困難。数百万年の間の火山活動と浸食風化作用、地殻変動、海面の上下など、様々なことの複合で形成されている。
その他、ジオガイドに有益な数々の情報を教えていただきました。今後も、このような勉強会を予定します。

  • 淡島

ロープウェーは5年前からは使われていなく、渡船での上陸となる。淡島には水族館・イルカショー・カエル館などもあり、ジオツアーだけで訪れるには入場料の元は取れない。石を見るだけのジオツアーの場合は、半額ていどになるといいな。島全体が海底火山から流れ出した輝石安山岩の根であるが、一周50分程度の遊歩道の場所によって、異なる地層が見られる。ここでは、扇岩と呼ばれる扇状に広がる柱状節理


神楽岩と呼ばれる下半分が海食された。海食洞が海面より上にある原因は、①縄文海進で海水面が今より高かった、②海水面より隆起した(伊豆半島西海岸は沈降傾向であるが、江の浦地区では隆起)、の2説がある海食された安山岩には塩類風化(タフォニ)が蜂の巣状の奇怪な彫刻を刻む。(塩類風化の前に穿孔貝のように生物の生痕穴の部分に塩類風化が進んだとみることも考えられる)


獅子岩 海食された崖淡島神社の鳥居近くにある石灯籠の基部は、文化三年と古いが、火袋は新しく付け替えられた小室石(きれいな凝灰角礫岩)島内の落石なども片づけられて、山頂への遊歩道も解放されました。



  • 多比海岸の露頭

多比海岸の小さな岬の露頭は海面付近の火山活動の複雑さを物語る地層(下部の海食棚は安山岩、最上部は軽石質凝灰岩だが、中間部は火砕流の堆積と考えられるようだ。時間軸の異なるいくつもの火山活動の結果が露頭していることになる)中間部は、陸上で噴出した高温の火砕流が赤く酸化して、海岸の礫を巻き込んで流れ下って堆積したと見られる



  • 口野凝灰岩の露頭

石丁場跡の露頭は、白色の江の浦凝灰岩(斜交層理も入る)切通しの凝灰岩では、緑色の長岡凝灰岩層と白色の江の浦凝灰岩層の末端がクサビを突き合わせたように指交している


濃い緑色の長岡凝灰岩(緑泥石)は、熱水で変成したため(長岡凝灰岩層には金!が入っていることも)またまた、斜交層理で議論。理屈はわかっても、一般の人に”ここが海底であったこと”をどう説明するかが課題



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