牛歩的写真中心網録”

伊豆半島ジオパークと道祖神を中心にアウトドア活動を、写真で記録しています

野外実習:土肥・大瀬崎・戸田エリア

とうとうジオの野外実習も最終回です。一緒に参加した皆さん、お疲れです。町こん伊東や推進協議会の皆さん、ありがとうございます。

今日のエリアでは、伊豆半島が本州に衝突した後の100数十万年前から40万年前頃に噴火した①棚場火山、②達磨火山、③大瀬崎火山、④井田火山の一部を陸と海から観察です。

  • 大瀬崎火山 南火道

大瀬崎の西の海岸沿いに南に進むと大瀬崎火山の火道(火口直下にあるマグマの通り道)が侵食された断面が露頭している。右側の白い地層が火道で、左側に噴水のように溶岩流が何回にも分けて噴出して、層を成している。


同じ火道の反対側の断面。火道は左側で、右側に溶岩流が噴出している。


火道を真下から(左半分は浸食されている)      火道を横から。少し冠雪した富士山とともに



大瀬崎火山からの溶岩流が、右上から左下に流れ下っている様子が見える断面(100万年近く、波で浸食されて露頭した)赤く見える地層は、陸上で流れ下った溶岩で、酸化したため(クリンカーと呼ばれる)。灰色の緻密な溶岩と赤褐色のクリンカーがサンドイッチのように何層にも積み重なっている。


南火道のすぐ近くに、薄い岩脈が、天に昇る龍のように露頭している


井田と戸田の砂嘴を上から。砂嘴とは海流に運ばれた土砂が溜まったもの。北向きの海流の影響で、どちらも南から発達している。左の井田の砂嘴は発達して、陸につながって、湾が閉じ、明神池を造った。
大瀬岬も砂嘴だが、神池の付近まで大瀬崎火山の溶岩流が分布していて、それと合体したとみられる。神池の水面は周りの海面より高く、淡水で鯉が生息している。池の水は、大瀬崎近くの山の地下水が湧出したものと思われる。

  • 達磨火山を海から

戸田からは船に乗り換えて土肥まで、海上から達磨火山の噴出物が見られる崖を観察。望遠レンズと揺れているせいで、明瞭ではないが、赤・白・橙・茶などの地層が至る所に見られる。
土砂崩れで、白い層が幾重にも観られる


  • 土肥金山

江戸時代には佐渡に次ぐ金の生産量を誇り、昭和初期まで金銀の採掘で町が栄えた。
地下の熱水が岩盤の隙間を上昇する中で溶出した金・銀マンガンなどの鉱物が沈殿して鉱床ができる。金鉱脈が掘りつくされた跡の坑道に怪しく光る鉱床が。
土肥の地層は、湯ヶ島層群と思われる。白浜層群の熱で一部が鉱物を生じた。

  • 達磨火山から戸田

達磨山手前の駐車場から戸田を見下ろす。画面下半分が川と波によって100万年近くもの間、浸食されて削られた。もちろん、今も浸食されている
達磨山も含めて西海岸の火山は、海に接する所が波により浸食されて、崖となるので、川も急になって激しく浸食することを繰り返して、急斜面が形成された。一方の東斜面は波の影響がなく川の浸食だけなので、比較的穏やかな斜面が修善寺まで続いている。浸食が進まなかった途中の台地に、修善寺公園、虹の郷やゴルフ場が造られている。

牛歩的写真中心網録”